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水先案内人のおすすめ

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洋画・邦画問わずグッときたヒロインを中心に

細谷 美香

映画ライター

マティアス&マキシム

グザヴィエ・ドラン自身が演じるマキシムと母との関係にこれまでのドラン作品らしさを感じながらも、恋愛映画としてはとてもてらいがなく、素直な印象を受けました。マキシムにとって顔のあざを気にすることなく過ごすことができる友人は想像以上に失いたくない存在だったはずだし、仕事にもパートナーにも恵まれているマティアスにとっても一歩を踏み出すことは勇気のいること。長年築いてきた心地いい友情を壊したくない気持ちと、気づいてしまった思いをスルーできるはずもない気持ち。視線の交錯や仕草のひとつひとつから、その狭間で揺れ動くふたりの心情が痛いほど伝わってきます。 ドランがインスパイアされたという『君の名前で僕を呼んで』のような瑞々しさはありながら、この映画の主人公であるマティアスとマキシムは“まだ”とも“もう”ともいえる30歳。普遍的なときめきと痛みをすくいとった恋愛映画として、そして青年から大人になる季節を見つめた映画としても心に残る1本です。

20/9/22(火)

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