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水先案内人のおすすめ

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ダメな人が出てくる情けない話やバカげた映画を中心におススメ

村山 章

映画ライター

ロケットマン

『ボヘミアン・ラプソディー』で途中降板したブライアン・シンガー監督に変わり、仕上げを担当したデクスター・フレッチャーが監督を務め、また同性愛者である実在のミュージシャンの伝記映画でもあることから、多くの人が『ボヘミアン…』との関連を感じている『ロケットマン』だが、実際に観て感じたのは、まったくの別物だということだ。 端的に言うと、本作はエルトン・ジョンの楽曲に合わせて、エルトンの前半生のできごとをアレンジして歌って語る完全なミュージカルなのである。それゆえに、曲の時系列、現実に起きた出来事の順番やニュアンスは、かなり大胆に組み替えられている。あくまでも、伝記映画としての正確さよりもミュージカルとして楽しく魅力的であることを優先しているからだ。つまり本作は、限りなく伝記に近いファンタジーなのだが、物語を推し進める原動力がエルトン・ジョンの煌びやかな歌であることで、もうとんでもなくエルトンと一体化した作品になっているのが面白い。 ただ、もちろん別の作品ではあるが、クライマックスのカタルシスを比較して『ボヘミアン…』に軍配を挙げたくなる人もいるんじゃないだろうか。でも、エルトン好きとしてネタバレを避けつつ言いたいのは、ラストまで一貫して感じ取れる、底抜けにバカっぽくて愉快な道化ノリこそがエルトンという人と音楽の魅力であり、本当にエルトンらしい映画になっていることに感謝と拍手を送りたい。

19/8/19(月)

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