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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物

春錵 かつら

映画ライタ―

ラ・ヨローナ ~彷徨う女~

“ラ・ヨローナ”と聞くと、2019年のジェームズ・ワン製作のホラーを思い浮かべるホラーファンは多いかもしれないが、こちらはグアテマラ発の社会派ホラー。タイトルからも続編と勘違いされることが多そうだが、両作は全くの別作品、むしろ本作の方が先に完成している。 ”ラ・ヨローナ”は水辺で嘆き悲しみ続ける女の霊だが、もともと中南米に伝わる都市伝説。日本では”泣き女”、北欧では”バンシー”と、世界各地で似た物語が存在している。本作では1960年から36年も続いたグアテマラの内戦を背景に、当時大量虐殺を指示して糾弾される元将軍の身に起こる不可解な現象が、ラ・ヨローナ伝説を交えて描かれる。 実は私が本作を初めて観たのは、昨年の東京国際映画祭。注目していた作品が日本公開になるのは嬉しい。欧米ホラーに多いドーンやババーンといった力技を使わなかったことでぞくりと迫る怖さ、厳かで重厚な空気が満ちる。さらに普通のホラーと一線を画すのは、ホラー要素のバランスだ。ホラーは社会の一側面に過ぎない。かつて失われた人々の嘆きを、多くの記憶に留めようという監督の“意志”がスクリーンから滲む。

20/7/8(水)

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