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水先案内人のおすすめ

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文学、美術、音楽など、映画とさまざまな構成要素に注目

高崎 俊夫

1954年生まれ フリー編集者、映画評論家

サマーフィルムにのって

何といっても、時代劇オタクの高校生ハダシ(伊藤万理華)がキラキラ恋愛ものに現を抜かす映画部のライバル花鈴(甲田まひる)に反旗を翻し、時代劇を監督するという大胆な発想がユニークだ。カツシンや市川雷蔵、『十三人の刺客』といったマニアックな映画談義を導入部に置きながらも、映画は突然、意想外な広がりを持ち始める。眠狂四郎の円月殺法、座頭市の逆手切りといった折り目正しい殺陣をじっくりみせることで、往年の大映時代劇へオマージュを捧げているのも微笑ましいが、タイムトラベルSFへと時空が広がりだし、ラスト、学園祭での上映会のクライマックスに至ると、『時をかける少女』の超虚構の世界と『どついたるねん』のパッショネイトな情念の世界が合体したようなフシギな感銘を憶えるのだ。 昨年の城定秀夫監督の『アルプススタンドのはしの方』のみずみずしさを想起させるが、脚本も手がける松本壮史監督は、この初々しい一作で日本映画の最前線に躍り出たといえるだろう。

21/8/6(金)

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