Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

王の願い ハングルの始まり

かつて朝鮮には自分たちの話す言葉を書き表す文字がありませんでした。そのため上流階級の人々は特権的に中国の漢字を学んで使っていました。この状況を好ましく思っていなかった第4代国王の世宗(ソン・ガンホ)は庶民が簡単に学び書くことができる独自の文字を作ることを決意します。これがハングルです。 庶民にとっては良い話ですが、それをマイナスと考える人は必ずいるもの。既得権益を押さえる高官たちに反発され王の地位も揺らぎ始めます。そんな王を手助けするのが『殺人の追憶』『グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物』の2作品で共演したパク・ヘイルです。演じるのは低い身分ながら何カ国もの言語に詳しい和尚シンミ。庶民が覚えやすいようにと文字数が少なく、形も易しくシンプルな文字を練り上げていきます。 本作は歴史の一説を基にしたフィクションですが、地理的な近さや積み上げた国際交流への配慮から日本や中国とはそれぞれ微妙な距離を置かざるを得ない韓国という国の立ち位置を改めて示しているのかもしれません。日本からの使節団に「朝鮮国は約束を守るべし」と言わせている場面にもそれを感じました。

21/6/23(水)

アプリで読む