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時代劇研究家ですが趣味は洋画観賞。見知らぬ世界に惹かれます。
春日 太一
映画史・時代劇研究家
残された者-北の極地-
19/11/8(金)
新宿バルト9
北極の凍てついた氷の世界にただひとり取り残された、マッツ・ミケルセン……もうそれだけで十分に画になるし、その画だけで堪能できてしまう。 状況説明的な描写やセリフは何もない。ただ、壊れたセスナ機と冒頭で主人公が氷を彫って刻み込んだ「SOS」の文字を見れば、この男が遭難してしまったということが理解できる。 救援ヘリはすぐにやってくるが、墜落。主人公は中にいた若い女性クルーを主人公は助け出し、介抱する。 手当てをし、励まし、そして状況打開へと動き出す……。 極限状態にあっても冷静沈着に淡々と一つ一つの行動を正確に積み重ねていく主人公と、それを演じるマッツのクールだけども確たる意思と温かさが滲み出る眼差し。 あまりに素敵すぎる。
19/11/5(火)