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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
パラサイト 半地下の家族
19/12/27(金)
TOHOシネマズ 日比谷
2019年カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を経て、アカデミー賞外国語長編映画賞に韓国代表としてノミネートされたポン・ジュノ監督の新作は、誰が観ても納得の面白さと言えるのではないか。これを退屈だ、という方がいたらお目にかかりたいほど、次々と予期せぬことが起こる。果たして手放しで笑っていいものか、と思いながらもつい笑ってしまうような、恐ろしくも可笑しい、切なくも悲しい人間のサガが描かれる。 電波もあまり届かない半地下の家に雑魚寝状態の家族と、高台の豪邸に住む裕福な一家。あまりに異なるふたつの家族はしかし、家庭教師というありふれた仕事をきっかけに交わる。 とりわけ“匂い”をモチーフに階級差を描くところなどは、この監督の想像力の賜物だ。そしてリアリティと寓話性が渾然一体となり、力技で観る者を納得させ、魅了する。このテイストは病みつきになるかも。
19/12/28(土)