40歳前で、仏の勲章「シュバリエ」を受勲し、国際共同製作にも熱心。「若き巨匠」と呼んでいい深田晃司監督の新作。『淵に立つ』で不気味な闖入者に崩壊させられた家庭の主婦を演じた筒井真理子が主演。深田は『淵に立つ』を経て筒井の美しい横顔を撮ってみたいという思いからこの映画の製作を始めたという。 親類の起こした思わぬ事件から職場や恋人などを次々に奪われる中年の女性が主人公だが、同性愛やメディアの罪など諸問題を絡ませながら『淵に立つ』のように人間と社会、双方の闇が徐々に浮き彫りになる作劇と演出はもう名人芸の域と言っていい。殺伐としたラストに監督の言う「美しい横顔」の意味を考えたら、心底ゾッとした。必見。

19/7/22(月)