Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

花椒の味

3姉妹ながら異母姉妹のため母親は故人か所在が不明。父親は評判の火鍋店を切り盛りしていると紹介すれば、名作『恋人たちの食卓』を思い出しませんか。そちらは台湾一流ホテルの元シェフであり厳格な父と、母とは死別した娘3人が初恋や不倫等をめぐり葛藤する姿を描いていくのですが、本作は父が急死したことで異母姉妹の存在が明るみに出て、気の早い人はさあどんなバトルが始まるかと期待することでしょう。共通するのは腕のいい料理人と娘3人が織りなす人間ドラマという設定です。 プロデューサーのアン・ホイ監督が才能にほれ込んだというヘイワード・マック監督は争いごとが好みではなかったからでしょうか。長女(サミー・チェン)、次女(メーガン・ライ)、三女(リー・シャオフォン)の演じる3姉妹は父の葬儀で初めて会ったのにすぐに打ち解け、長女は繁盛していた父親の火鍋店を継ごうと決心します。 さて本作をご覧になると『恋人たちの食卓』との間にはもう一つ共通点があることに気が付かれることでしょう。ぐつぐつ煮立った火鍋料理が次々と登場し観客が「おいしい口」になることはもちろんですが、食卓のもう一つの役割であるコミュニケーションを行う場と考えれば、今作も食卓がメインの舞台なので最後は「まとまる」ことが約束されていたということです。

21/10/27(水)

アプリで読む