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映画史・映画芸術の視点で新作・上映特集・映画展をご紹介

岡田 秀則

1968年生まれ、国立映画アーカイブ主任研究員

高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの

映画の作り方を解説することは難しいことだが、それ以上に、アニメーションの制作工程を正しく理解し、それを人に伝えることは難しい。しかもアニメーションは、時代ごとの技術の変遷が激しく、資料を残すことも簡単ではない分野だ。だからしばしばアニメーションの展覧会は、いくつかの「画」を紹介してお茶を濁すことになりがちだ。 『高畑勲展』が感服に値するのは、この難所を本気で乗り越えようとしていることだ。よく「絵を描かないアニメーション監督」と呼ばれる高畑の仕事とは何だったのかを、共同作業や制作システムなどの実態を通して明るみに出している。もちろんそこには現場スタッフの全面的な協力があったはずだが、その成果が高度なキュレーションとして実っている。 東映動画『太陽の王子 ホルスの大冒険』が直面した資本vs労働の対決、『母をたずねて三千里』における椋尾篁による贅を尽くした背景画の採用、リアリズムの臨界の向こうにつかみ取った『ホーホケキョ となりの山田くん』の新たな地平など、アーティストとしての創造のストーリーが見えてくるのもこの企画の面白さだ。

19/7/19(金)

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