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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

偽りの隣人 ある諜報員の告白

大方の映画ファンは、本作を観て第79回アカデミー賞外国語映画賞受賞作『善き人のためのソナタ』(2006年/ドイツ映画)を思い浮かべるに違いない。東ドイツの国家保安省の局員の視点から監視社会の実像を描いている『善き人のためのソナタ』と、軍事政権下の韓国で自宅に軟禁される野党政治家を盗聴する諜報機関というドラマ構造が酷似しているからだ。だからといって『偽りの隣人』が映画的に劣っているのかといえば、そんなことはなく、傑作『工作 黒金星と呼ばれた男』を彷彿させる面白さが本作にはある。 軍事政権が国民の民主化運動を弾圧していた1985年の韓国。政権に敵視されて海外に逃れていた野党総裁のイ・ウィシク(オ・ダルス)が緊急帰国する。諜報機関のキムは彼の大統領選出馬を阻止すべく、ウィシク一家を自宅軟禁。隣の民家を盗聴拠点としてデグォン(チョン・ウ)に24時間体制で監視を命じる。だがデグォンはウィシクの声を聞き続けるうちに、上層部に疑問を持ち始める。 『1987、ある闘いの真実』(17)や『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17)などの実話を映画化した作品ほどリアルではないが、日本ともゆかりの深い某元大統領が想起されるなど見どころは多く、体制批判のスパイスも効いている。監督は『7番房の奇跡』(13)で日本にもファンが多いイ・ファンギョン。

21/8/28(土)

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