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ノージャンル、ノーボーダー。個人的アンテナに引っかかるもの
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
TENET テネット
20/9/18(金)
TOHOシネマズ日比谷
1作ごとに、予想を超えた新しい領域に踏み出すクリストファー・ノーランの新作は、ハリウッド大作を好む好まざるに拘らず、観ずにはいられない気にさせる。なぜなら彼は全身全霊をかけて、新しい体験を観客に与えようと思っているから。VFXを嫌い、驚くようなアクロバティックなアクションすらも、カメラの前に現出させる。その“気合い”が、スクリーンからほとばしるエネルギーとなって、観客を圧倒する。 『TENET テネット』は、“時間の逆行”というアイデアと、未来に起こりえる第3次世界大戦を食い止める、という命題を融合させ、時と場所を縦横無人に駆け巡る諜報部員の、未曾有のアドベンチャーを描く。 あらゆることが説明を省き音速並みに進むので、正直初見は面食らうが、「考えるより感じろ」というセリフそのままに観ればいい。おつりは十分に返ってくるはず。
20/9/16(水)