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水先案内人のおすすめ

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エンタテインメント性の強い外国映画や日本映画名作上映も

植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ブックセラーズ

「神田古本まつり」。今では〈本の回廊〉と称して靖国通りの歩道に平台が並ぶだけだが、以前は御茶ノ水猿楽町の錦華公園いっぱいに神保町の古本店が出店を並べる東京の一大イベントだった。本作『ブックセラーズ』は、そんな失われた本屋街の光景を思い出させる世界最大規模のニューヨークブックフェアから始まる。 『ブックセラーズ』とは直訳すれば「本を売る人たち」だが、単に本を売るだけでなく、<本を探し、本を売り、本を愛する>人たちなのだ。登場する書店主いわく「本に正しい家を見つけてやるのは医者が患者を治すのに似ている」。そんな彼ら彼女らの本への愛情は、傾聴に値する。 書店の減少、活字文化の危機が言われて久しいが、社会の多様化やデジタル化で、本をめぐる世界は大きく変わりつつあるのは事実。だが本作に登場するブックディーラー、書店主、コレクターたちの本への愛情物語を聞いていると、まだまだ活字文化と本は無くならないと安堵させられる。 監督のD.W.ヤングが、「この映画は本そのものがどのように耐え抜き、所有者たちよりも長生きするかについて語る叙情詩だ」と語る『ブックセラーズ』は、本を愛するすべての人におススメするドキュメンタリー映画だ。

21/4/16(金)

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