Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

THE CAVE サッカー少年救出までの18日間

2018年に豪雨のため洞窟に取り残されたタイ少年サッカーチームのコーチを含む13人全員が奇跡的に助け出され、全世界が注目した救出劇が早くも映画になりました。もともとドラマチックなお話ですから映画にするのは簡単なように見えますが、大量のニュース報道のお陰でだれもが結果はおろか途中の細かい経過まで知っていて、トム・ウォーラー監督らスタッフはどう観客に見せていくのか工夫を凝らすことが大変だったようです。 スタッフが最重要視したのは、観客が物語を知っていることを心配する代わりに、観客があたかもその場にいるような気持ちにさせるべく、現場を忠実に再現するよう努めたことです。例えばケイブ・ダイバー(洞窟潜水士)には実際に救助にあたった世界でもトップクラスのダイバーたちに出演を依頼し、命がけの救助の一部始終を再現しました。また洞窟内の水が排水されたため自分の田んぼが冠水し対策チームから補償を提案された女性が「稲はまた栽培すれば収穫できます。でも子供達の命を取り返すことはできません。だから排水の補償はいりません」と断った実話を本人役で堂々と演じています。 この作品で描かれるのはダイバーやレスキューチームだけでなく警察や軍隊から食事の炊き出しを買って出た村人まで少年救出に向けて心を一つにした人々の姿です。そんな熱気が映画の隅々に伺える作品です。

20/11/12(木)

アプリで読む