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水先案内人のおすすめ

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日本映画注目作を中心に、旧作上映まで幅広く

樋口 尚文

1962年生まれ 映画監督、映画評論家

六つの黒帯を持つ男 世界のアクション・スター 追悼・千葉真一

『仁義なき戦い 広島死闘篇』(10/23、29) 特集「六つの黒帯を持つ男 世界のアクション・スター 追悼・千葉真一」新文芸坐(10/20から30)で上映 千葉真一と深作欣二は二歳違いの同世代で、日本映画の黄金期に東映に入社、そこから真っ逆さまに興行不振に陥ってゆく映画界をなんとか盛り上げようと意欲をたぎらせた「同志」であった。お互い新人の頃に組んだ『ファンキーハットの快男児』シリーズは、深作がベルモンドのかわりに千葉を起用して自己流『勝手にしやがれ』を作ったかのような、とにかくイキのいい新風だった。それから十余年を経て、ダーティでドライな実録やくざ映画の鬼才と仰がれた深作は、『キイハンター』などの人気テレビ映画で爽快な二枚目アクションスターとなった千葉と再会して、『仁義なき戦い 広島死闘篇』でどぎつく猥雑な活力に満ちた戦後派やくざ・大友勝利の役をオファーする。もともとは北大路欣也が配役されていたこの役だが、このえげつないキャラクターは自分には無理だと千葉の役との交換を要望した。そもそもこの役を千葉に演じさせたら面白いはずと思っていた深作は、この機に乗じて臆する千葉を説得、実現にこぎつけた。結果、お茶の間のスタアの顔とは真反対の雰囲気で千葉が演じた大友勝利は『仁義なき戦い』シリーズ屈指の人気キャラクターとなった。ぜひ映画ファンには、『柳生一族の陰謀』『魔界転生』の当たり役・柳生十兵衛のカッコよさとともに、千葉の「裏」の当たり役・大友勝利の痛快な暴れっぷりも堪能していただきたい。

21/10/19(火)

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