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ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

明日をへぐる

伝統的な土佐和紙の原料である楮(こうぞ)という樹木を栽培する高知県いの町吾北地区の農作業を描いたドキュメンタリーである。「へぐる」とは吾北地区の方言であり、楮の蒸した樹皮を包丁で削りとる作業のこと。25年前に東陽一監督『絵の中のぼくの村』の舞台となったところで、映画の1シーンも引用される。和紙への加工、和紙による作品創作や修復なども紹介されるが、映画は楮栽培に焦点が当てられる。村人総出で伐採した楮の樹木を蒸す昔ながらの作業が描かれ、蒸した楮の樹皮を包丁で「へぐる」姿が描き出されるが、農民たちの多くは高齢であり、後継者不足、楮農家の減少など、楮栽培は危機的な状況にある。そんな楮の樹皮の「へぐる」作業に象徴される伝統的な営みの現在と未来を問いかける。

21/9/4(土)

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