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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

タッチ・ミー・ノット ~ローラと秘密のカウンセリング~

ドキュメンタリーと劇映画の境界線が限りなく曖昧になりつつある昨今、この映画も先入観抜きに観れば、ドキュメンタリーではないかと思われてしまいそうだが、これはルーマニア出身の女性監督アディナ・ピンティエリのれっきとした劇映画であり、初監督作だ。 ヒロインのローラは、寝たきりの父親の介護をしつつ、自身も人に触れられることを拒む強迫性障がいを抱えている。病により全身の毛が無い青年や、自由に四肢を動かせない車椅子の男など、様々な病状を持つ人々と出会ううち、彼女も自分自身の生き方を見つめ直していく。今や皮肉なことに、映画の中の設定と同様、社会全体が〈ソーシャル・ディスタンス〉化してしまった現在、他者と、どう向きあい、どう関わっていくかという、この作品の主題は、製作時以上に、現代社会の鍵となる重要なヒントを秘めていると思う。

20/7/4(土)

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