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三鷹市芸術文化センターで、演劇・落語・映画・狂言公演の企画運営に従事しています

森元 隆樹

(公財)三鷹市スポーツと文化財団 副主幹/演劇企画員

第27班『潜狂』MITAKA “Next" selection 20th

今回は、筆者自らが手掛ける企画で恐縮です。三鷹市芸術文化センター星のホールにおいて、毎年3劇団から5劇団に出演をお願いして実施してきたMITAKA“Next”Selectionが、今年、20回目を迎えることとなりました。この企画を始める時から、その段階での集客数や、劇団としての継続年数などは一切気にせず、脚本や演出力に優れ、独自のオリジナリティを持っていて今後が楽しみだなと思える劇団を招致することだけを考えて実施してきました。あと「今年のテーマは」というようなことも全く考えてないので(同一年度の)招聘劇団に共通項を持たそうと思ったことも無いですし、会話劇主体の劇団からコンテンポラリーダンスまで、ジャンルにも全く拘っていません。そして、招聘する以上、どの劇団にも同じ敬意を持ってと思っているので、「今年の3劇団の中から、一等賞には100万円」というようなコンテスト形式にはしたくなかったですし、レセプションやパーティなども実施せず、とにかく作品で勝負してもらって、良い舞台を作り上げてもらえたらと思ってきました。先にも書きましたが、その時点での集客数を全く気にしていないので、招聘する際に「今、何人くらいの集客数ですか?」という質問に「150人くらいです」とお答えいただいた劇団もありました。けれども近年は、全ての劇団に「2週間公演しましょう」と言って交渉を進めます。三鷹市芸術文化センター星のホールは、割と簡単に客席が真っ平らになりますので、空間の使い方の自由度が高いという利点を生かして、「1ステージ30人でも寂しくないし、もしお客さんが増えて100人来てくださっても対応できる」ような舞台と客席作りになればと、相談したりしています。そして、舞台が評判となって、後半にお客様が増えるということを強く願っての「2週間公演しましょう」となります。木曜日や金曜日が初日で、日曜日が千穐楽だったりすると「面白いらしいね」と評判になっている頃には舞台が終わっているということが多くて、もったいないなと。だから、2週間公演すれば、評判になって、後半お客様がたくさん来てくださるという可能性があるかなと、それを願いつつ、とにかく良い舞台を作ってもらえたらとご相談しています。今から10年前の2009年、丁度“Next”Selection 10回目の年に公演していただいた、劇団ままごと『わが星』がまさにそんな感じで、初日二日目までは空席があったのに、千穐楽は当日券が長蛇の列となりまして、後に岸田國士戯曲賞を受賞したほか、再演・再々演においても、お客様に大きなご支持をいただける作品となりました。その「ままごと」のほかにも、その後大きく羽ばたかれた劇団が数多くあり、本当に微力ながら、演劇界の裾野の広がりに少しでも貢献できたなら嬉しくと思いますし、これからも、一歩一歩、丁寧に、実施できたらなと思っています。その上で、今年も、いずれ劣らぬ脚本の鋭さと、緊張感に満ちた舞台を導く演出力を備え、それぞれが独特の空気感を持った3劇団にご出演いただくことができました。各劇団、初めてご一緒する星のホールの空間で、どのような作品を生み出してくださるか、心から楽しみにしています。 <<<>>> 第27班『潜狂』 嘘を嘘なく描き、真実をエンターテイメントに昇華させる、圧倒的な筆力。その、切れ味に満ちたセリフが、人の世の業(ごう)を、幾重にも炙り出す。 <<<>>> 今年のMITAKA“Next”Selection第一弾は「第27班」。元々、セリフの切れ味には鋭く光るものがあったが、2時間なら2時間の作品を作り上げた際に、物語の進め方に都合が良すぎるところがあったり、演出的に集中力が切れる瞬間が感じられた時期がありました。しかし最近は、その脚本上の脆弱性が消え、2時間見事に緊張感を持続させる演出力を手に入れており、3月末に公演された『蛍』(2019年3月/萬劇場)では、将棋のプロ棋士を人生の視野に入れる人々を物語の核とし、その人生を鈍く揺さぶる人間模様を生きたセリフで描ききり、2時間15分の作品ながらも全く長さを感じない、素晴らしい舞台を作り上げる力を見せてくれました。今回の三鷹公演では、音楽を生演奏が担い、その演奏者も役者として出演する試みにも挑戦していきます。 『令和の群像劇団』を標榜する彼らが、始まったばかりの『令和』をどのように駆け抜けていくのか、その『令和』第一弾となる本作品に、ご期待ください。

19/8/18(日)

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