想像力と探求心は、可能性に翼を授ける。 …某エナジードリンクの謳い文句みたいになってしまったが、彼のことは以前から知っていた。偶然目にした世界的講演会「TED」でその青年が話したのは、貧困で学校に通えず、独学で廃材から風力発電システムを開発したという胸の躍る希望に満ちたエピソードだった。番組を見ながら「映画にしたら絶対に面白いのに」と思っていたが、すでにそのときに映画化プロジェクトは進行中だったようだ。 実に映画化までに10年を要した本作の監督を務めたのはキウェテル・イジョフォー。スピルバーグ監督の『アミスタッド』でスクリーンデビューを飾った彼は、本作で初となる監督業だけではなく主人公ウィリアムの父親役も務めている。 その挑戦で少年は確かに風をつかまえた。しかし、彼がつかまえたのは遥かに膨大なものだった。つまりそれは「未来」だ。

19/8/5(月)