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中川 右介
1960年生まれ、作家、編集者
The Crossing -ザ・クロッシング- PartI
19/6/7(金)
シネマート新宿
とにかく、大作である。音楽はひたすら鳴り響き、1950年代の、いや、もしかしたら1930年代のハリウッド映画みたいだ。その圧倒的な映像に身を任せるしかない。 大作の多くがそうであるように、主人公たちは類型的だし、ストーリーはご都合主義。ツッコミところは満載だが、そういう批判は無意味な、理屈抜きの娯楽大作。 ジョン・ウーがこれまでハリウッドで撮った作品とは異質で、当たり前だけど、完全に中国映画となっている。超大作なのに、なんともいえないチープさが同居するのだ。このあたり、昔の角川映画的とも言える。 共産党と国民党の内戦が背景にあるが、中国映画なのに、台湾に逃れた「敵」である国民党側の人びとが主人公。といって、国民党の軍人に「何のために闘うのか」といった苦悩はなく、その意味でも、理屈(思想)抜きに楽しむ映画。
19/6/5(水)