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水先案内人のおすすめ

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音楽は生活の一部、映画もドキュメンタリー中心に結構観ています

佐々木 俊尚

1961年生まれ フリージャーナリスト

ディナー・イン・アメリカ

孤独で臆病で過保護な少女が、警察に追われる不審な男を自宅に匿い、そしてその男は実は彼女が熱狂的に愛してるパンクバンドの覆面リーダーだった……という突拍子もない設定の物語。そうやってあらすじだけを書くと荒唐無稽に見えるが、その荒唐無稽さを吹っ飛ばすほどのアナーキーさが全編に満ち満ちている。社会に居場所がなく、変人で、厄介者だと思われているふたりが、ふたりだけの世界で充足していく感じは、1998年のヴィンセント・ギャロの名作『バッファロー’66』を強く想起させる。そういう哀しく切ない物語なのだ。 世界はそうかんたんには変わらないけれど、居場所がない人たちにも希望と救いは必ずある。そういうリアルな勇気をもたらす映画。

21/8/14(土)

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