『愛がなんだ』の今泉力哉監督の新作。ゲイであることを隠し、田舎で自給自足の生活を送る迅のもとに、かつての恋人渚が訪れる。渚は、離婚協議中の妻との間の6歳の娘・空を連れていた……。 若者の初々しい恋愛感情が異性愛とまったく変わらず描かれているのがまず強み。映画初主演となる宮沢氷魚の美男ぶりも、BL的な嗜好にも耐えうる美しさと、映画に説得力をもたらしている。だが、映画の肝は渚の妻・玲奈との関係だろう。2/7公開の『ロニートとエスティ　彼女たちの選択』も、性的指向の抑圧の結果巻き込んでしまう異性愛者の夫（妻）との確執と和解を描いているのだが、LGBT映画（と便宜的に括るが）も新たなフェーズに入ったことを感じさせる。

20/1/21(火)