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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

我が心の香港~映画監督アン・ホイ

いろいろな意味で危機にある香港映画。40年以上に渡って映画を撮り続けてきたアン・ホイ監督の生き様と監督自身の思いを多彩な映像と共につづる今こそ観ておきたいドキュメンタリー作品です。『女人、四十。』(1995年)や『桃(タオ)さんのしあわせ』(2011年)など実績も十分で、文字通りの巨匠ですが、本作の中で大笑いしつつインタビューに受け答えする彼女の姿は原一男監督風に表現すれば「アジアのおばちゃん監督」と表したいほど庶民的。実は筆者の私も年恰好は似ていて、自称「おじちゃんライター」なので失礼の段、ご容赦下さい。 さて映像はアン・ホイ監督がカメラマンと撮影方法で喧嘩する緊迫した場面を流したり、時には懸命に作った作品の評判が思ったほどでないこともあり、すべて順調だったわけではなかったことを追っていきます。後半のインタビューでは70歳を超えてから体力や気力の衰えを感じていることや、合作と中国市場に頼っている香港映画の現状を心配していることも紹介されています。「部外者みたいにクールにはなれません。(私は)ここ(香港)に残ります。今は香港のために何か貢献したいんです。私にできるのは映画を撮ること。香港人についての映画を撮りたい。香港の変化をたくさん撮ることで前向きの効果を生み社会に貢献したいのです」。今すぐではなくても、いつかアン・ホイ監督が自ら望むような作品が製作・公開されることをファンは熱望しています。監督の次の言葉を信じて。「私は映画の撮り方を知っているし、映画の影響力は大きいから」。

21/10/20(水)

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