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植草 信和

1949年生まれ フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

ある人質 生還までの398日

ジャーナリストのプク・ダムスゴー著『ISの人質 13カ月の拘束、そして生還』(光文社新書刊)で、テロ組織と拉致者家族を仲介する“民間コンサルタント”の存在を初めて知った。 2015年にシリア国内で拘束された湯川遥菜、後藤健二両氏が相次いで殺害されたという大事件の水面下でも、彼らが暗躍していたのだろうか。 本作はその『ISの人質』を原作に、398日間にわたってシリアで過激派組織ISの人質となり、奇跡的に生還を果たしたデンマーク人写真家ダニエル・リューの過酷な体験をスリリングかつ感動的に描き出した問題作。本作では解放の交渉に当たった“民間コンサルタント”の暗躍、決して諦めなかった家族の奔走をも同列に描写される。 人質事件をより悲劇的にしているのは、自国の政府の方針で解放さずに殺されるアメリカ人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーの存在だ。彼の葬儀に参列したダニエルの深い悲しみと怒りが、現代社会の混迷を浮き彫りにする。 監督は大ヒット作『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(09)で世界的に知られるデンマーク出身のニールス・アルデン・オプレヴ。共同監督を『幸せになるためのイタリア語講座』(00)などで知られる俳優で本作でも人質救出の専門家という重要な役を演じているアナス・W・ベアテルセンが務めている。

21/2/17(水)

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