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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物

春錵 かつら

映画ライタ―

ハウス・ジャック・ビルト

建築家になりたかったジャックの夢は、『自分だけの理想の家』を建てることだ。 ラース・フォン・トリアーが手がける作品にはいつも“愛”が描かれているけど、同時に描かれている“醜さ”に、いつも恐怖し打ちのめされる。7年ぶりにカンヌに戻ってきたトリアー監督の新作も例に漏れず、途中退席者の続出とスタンディングオベーションという対極の評価で話題を集めた。本編を観ると納得の反応だろう。 マット・ディロン演じるジャックは、潔癖症のサイコパスでシリアルキラーだ。物語はこの殺人犯の12年にわたる回想を謎の男との会話で綴る。この謎の男の名からもダンテの神曲をモチーフとしてることに間違いはない。演じたのは2月に訃報が届いたブルーノ・ガンツ。 本作の着想はマザーグースの歌から得たという。 「これはジャックの建てた家♪」この一行から始まるマザーグースの積み上げ歌は、一行ずつ増えていき、最終的には11行にも膨らむ。本編のジャックが生み出す死体の数もまた、一体、また一体と増えていく。 観客はジャックの中にトリアーを見る。トリアーがそれを望むと望まないとに関わらず。

19/6/19(水)

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