リー・キットは絵を掛け、プロジェクターも使うインスタレーションアーティスト。ライトでなく、プロジェクターで絵を照らす。そこにその風景があるのが必然のような気もするし、なくてもいい気もする。映像には文字も出るが、それはたとえば、賛美歌の一フレーズ。All things bright and beautiful. 全ては美しく輝く。あるいは、好きな港町の名前、Takamatsu. 通常１週間〜10日くらい滞在して制作をし、その場に相応しい空間を作り上げる作家で、そのため旅の続く日々を送っていた。今回は出身地の香港からのリモート制作となった。自宅にギャラリーと同じ空間を作りシミュレートしたという。静謐で感傷的な作風に見えるのだが、その奥には実は、一昨年からの香港民主化運動、昨年からのパンデミック騒動の影が差している。

21/1/20(水)