Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

薬の神じゃない!

中国で2014年に実際に起きたジェネリック薬密輸入事件を基にしています。事件後に中国の医薬業界に改革が起き、映画も興行収入30億元(約500億円)というとてつもない大ヒットを記録したので、基になった事件がいかに衝撃的だったかがうかがえます。 実話の「陸勇事件」は2004年に慢性骨髄性白血病患者の陸勇がインドから安い抗がん剤を購入し患者仲間にも販売したことから始まります。陸勇は14年にニセ薬販売の罪で起訴されますが、薬のおかげで命を取り留める患者が多かったのでしょう。裁判の撤回を求めるデモが起き、翌年彼は釈放されました。また保険の適用ができるようになり抗がん剤が安く手に入るようになりました。 映画もほぼ同じ展開ですが、ヒットの要因はコメディ色を前面に出した見せ方と、脚本も兼ねたウェン・ムーイエ監督が中国の底辺社会で必死に生きようとする庶民にピタリと目線を合わせた作り方が支持されたのだと思います。一歩間違えれば反体制映画と見なされてもおかしくありませんが、作り手の工夫と熱意により当局の介入をかわすことができた作品といえるでしょう。 それにしても興収500億円、すごすぎます。

20/10/12(月)

アプリで読む