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生きのいい日本映画を中心に、大人向け外国映画も

平辻 哲也

1968年生まれ 映画ジャーナリスト

生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事

コロナ禍での緊急事態宣言下の銀座クラブ通い、東北新社、NTTなどをめぐる接待問題と一連の弁明……。政治家、官僚の行動や言動に腹を立てている人は多いのではないか。そんな無責任な政治家や官僚にこそ見て欲しいのが本作だ。 太平洋戦争末期、沖縄県知事を務めた島田叡(あきら)の壮絶な生き様を描いたもの。島田は1945年1月、43歳で戦中最後の沖縄県知事になった。大規模な疎開促進や、食糧不足解消に奔走。軍部からの理不尽な要求と、行政官としての住民第一主義という信念の板挟みとなり、苦渋の選択を迫られる。戦況が悪化する中、「玉砕こそが美徳」とされた時代で、周囲の人々に「生きろ」と言い続けた。 監督はTBS「筑紫哲也NEWS23」「Nスタ」など報道番組でキャスターとして活躍した佐古忠彦氏。キャスター卒業後は報道番組の製作に携わり、特に沖縄問題に深い関心を持っている。戦後、米軍の圧政に立ち上がった沖縄の政治家、瀬長亀次郎の生涯を描いたドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』などでは高い評価を得ており、映画としては第3作となる。 13年にはドラマとドキュメンタリーで島田を描く緒形直人主演の『生きろ〜戦場に残した伝言』のドキュメンタリーパートの監督を担当しており、改めて、ドキュメンタリーだけで島田という人物を浮かび上がらせた。山根基世がナレーション、佐々木蔵之介が島田の声を担当。小椋佳が映画のテーマを歌い上げる。 二律背反の中で悩む島田の姿は、コロナ禍で生きる私達にも道しるべになるはず。戦後から75年以上がたったが、島田の言葉や行動は今の私たちの心に響いてくる。

21/3/19(金)

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