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笠井 信輔
1963年生まれ フリーアナウンサー
滑走路
20/11/20(金)
テアトル新宿
歌集を原作に映画を作ると一体どんな作品になるのか? しかも、それが32歳の若さで命を断った歌人の唯一の歌集だと言うのだ。 親友同士だったふたりの男子中学生のうちのひとりと淡い恋心で結ばれていく女子中学生。この3人のうちの一人が激しいいじめに会うのが物語の発端で、その20年後の姿を中学時代と同時並行に描く。 女子中学生が水川あさみに成長すると言うこと以外、男子ふたりのどちらの20年後の人生を描いているのかが、しばらくわからない展開がなかなかうまい。 歌人、萩原慎一郎が残した歌の数々との作風によりそうような物語は、葛藤と深い悲しみに満ちたものになったが、しかし再生への力を込めた作品に仕上がっていた。 コロナの今、だからこそ、人と人のつながりを改めて考えたくなる1本。
20/11/16(月)