Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

旅立つ息子へ

親子の情愛を描いた作品だが、この映画の親子は普通のケースとは異なっている。今までのキャリアを捨てて、子育てに人生を捧げる父親は田舎に引っ込んで、子供と二人だけの生活を楽しんでいる。自閉症スペクトラムを抱えているだけに父親にとって息子の存在は目を離せず、情愛は深まるばかり。そんな二人に突然の試練が訪れる。息子が大好きで、劇中に度々登場するチャップリンの『キッド』(21) は二人の関係を二重に示唆している。東京国際映画祭で史上2度のグランプリを受賞した、イスラエル出身のニル・ベルグマン監督は、文化や言葉の壁を越えて我々に率直に心情を伝えてくる。それもそのはず、ベルグマン監督は、小津、黒澤らの巨匠は勿論、北野武や滝田洋二郎、是枝裕和監督作品のファンとか。些細なエピソードを繊細かつ的確に描く手腕は、今後を期待させる。

21/3/19(金)

アプリで読む