評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
ミニシアター系作品とアニメをこよなく愛しています
杉本 穂高
映画ライター
メランコリック
19/8/3(土)
アップリンク渋谷
またひとり、才能豊かな若手が登場した。最少の登場人物と舞台設定で、予測不能でスリリングな展開が最後まで続き、凄惨な殺人が多く行われるのに、鑑賞後は爽やかな気持ちでいっぱいになる。独特のペーソスに溢れたシニカルな笑いの連続で、笑いっぱなしだった。 人の良い銭湯オーナーのおじさんが、いかにも人受けの良い口調で「この事はしゃべらないでね、もししゃべったら、君も申し訳ないけど……そういうことだから」と言うシーンに唸った。淡々と日常業務として殺人が行われている感覚がきちんと描かれている。だからこそ、退屈な日常をおくる主人公にはその世界がまぶしく見える。邦画で久しく見かけなかったブラックコメディの傑作だ。
19/7/31(水)