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ホラー、ミステリー、トンデモ映画が大好物

春錵 かつら

映画ライタ―

食われる家族

物語は冒頭から人間相関図を思い描く観客を混乱させる。こののち始まる不穏を予感させる、巧みな演出だ。 本作は「食われる」と言っても今流行りの“ゾンビもの”ではない。幼い頃行方不明になり、25年ぶりに現れた「妹」を名乗る女に浸食されてゆく主人公一家。この通り、「食われる」は「圧制される・勢力負けする」の意だ。原題は「侵入者」。 いわゆる一家乗っ取り系の作品はこれまでにも沢山あるが、本作はそう一筋縄ではいかないサスペンスだ。 様々なバイアスが家族に飢えた者たちを翻弄する。平穏無事に過ごしていたらきっと気づきもしない寂寥感だが、平穏というのはまた充足感ですらも共に見過させてしまうものなのかも知れない。そしてそれは使い古された「大切なものは失ってから気付く」という言葉のエレメントにでもなっているんだろう。 失われた時間は戻らない。人は“今”を携えながら前を見つめるしかできないのだ。それはとても覚悟が要ることだけど。

21/2/1(月)

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