コロナ禍が世界を覆う今年は、ココ・シャネル没後50年、また彼女の名を有名にした香水「No.5」誕生100年にあたるという。そのココ・シャネルの生涯を、時代の雰囲気を伝える記録映像を交えながら、本人をはじめジャン・コクトーら各界の著名人の証言とともに描いたドキュメンタリーだ。女性解放の服飾革命家、恋多き女、時代と寝た女といったさまざまな見方がなされる彼女の人生は、まさに激動の20世紀の歩みと重なっている。なかでもナチス占領下のパリにおけるナチス・ドイツ高官との交流や終戦直後のスイスへの移住と謎めいた沈黙は、本作のひとつの焦点である。彼女の信条がいかなるものであったにせよ、シャネルという輝かしいブランドを立ち上げたひとりの女性の生き方はたいへん興味深い。

21/7/13(火)