Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

ドキュメンタリーの面白さを知ると映画の見方が変わる

村山 匡一郎

映画評論家、大学講師

息子のままで、女子になる

トランスジェンダーは誰もが認める社会問題のひとつ。大学に男子として入学し、女子として卒業して大手建設会社で建築家として働き始めたサリー楓。その“彼女”に密着取材したドキュメンタリーである。楓本人を中心に、多くの人々、とりわけ父親へのインタビューを交えながら、トランスジェンダーとしての楓個人の苦悩や夢に迫る。楓の“女性”は、例えばミス・ハーフの日本大会に出場するように、性同一性障がいに対する偏見を背景に女性として認めてもらいたいという願望があるにしても、その一方で父親による“期待された息子”へのねじれた悔恨の念が感じられる。その意味でトランスジェンダーという一般論では解消されない“私”という存在のアイデンティティーの問題が浮き彫りになり、心に響く。

21/6/10(木)

アプリで読む