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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎とか文楽とか…伝統芸能ってカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

【動画配信】おうちでカンゲキ!! 伝統芸能ホームシアター

国立文楽劇場資料展示室 映像コンテンツ『舞台の上で生きる女方』 人形遣いの女方の表現についての、舞台映像と音声の15分間のコンテンツだ。町娘、武家の娘、離島の田舎娘、若い新妻、武家の女房や世話女房、傾城など、さまざまな役の人形が登場する。どういう内容の役なのか、テロップで解説も入る。 役柄、氏素性、立場が変わっても、どの役も舞台の上で物語の世界を生きているように見える。ちょっとした首(かしら)の傾きや肩から胸への柔らかいライン、五本の指が動いているかのようなしなやかな手の動き、嘆き、喜び、驚き、その表現は実に多彩だ。 例えば、「肩や首をこう動かすと、武家の女房が悲しんでいるように見える」などという、近現代演劇でいえばスタニフラフスキーシステムを思わせるような“ノウハウ”があるのだろうか。以前、ある人形遣いの技芸員への取材で、それに近いことを尋ねたことがある。 だが「そんなこと考えたこともありまへんな」と一笑に付された。 「何十年もやってきましたから、もう勝手に(自分の)手足が動いて人形を遣うているのでね、どこをどう動かせばこう見えるとか、考える間などないですな。頭を通らずに体が勝手に動いてます」と。 人形遣いの修行は、足遣い、左遣い、主遣い、それぞれ10年とも15年ともいわれる。主な役を遣うまでに合わせて40年はゆうにかかる。それでも多くの名人たちが、「修行は一生じゃ足らんな」と言いながらこの世を去っていく。 登場する遣い手は人間国宝クラスの技芸員から若手までさまざまだ。劇場が無事再開する日が来たら、ぜひ文楽の公演に足を運んで、彼らの技芸のすばらしさに触れてほしい。

20/5/21(木)

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