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水先案内人のおすすめ

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音楽、映画、アート、ステージなど幅広いジャンルをプロデュースする

立川 直樹

1949年生まれ プロデューサー、ディレクター

ある画家の数奇な運命

一言で言うと“凄い映画”だった。掛け値なしに凄い映画だ。 189分、3時間を超す長さだが、現在、世界で最も注目を集める芸術家のひとりと言われるドイツ最高峰の画家ゲルハルト・リヒターの半生をモデルにして、ナチ政権下の幼少期から戦後の東ドイツ・ドレスデンでの美術学校時代から西ドイツのデュッセルドルフ芸術アカデミーでの日々といった激動の3つの時代を描こうとしたらこれだけの時間が必要だったことがよくわかる。 監督は『善き人のためのソナタ』(これもいい映画だった)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。監督がリヒターの人生に魅了され、映画化を申し込んだところ「劇中の人物の名前は変えること。何が事実か事実でないかは互いに絶対明かさないこと」という条件がリヒターから出されて実現したというが、クルトという名前になったリヒターを演じるトム・シリングをはじめとする俳優たちの演技も素晴しいし、撮影も音楽も非の打ちどころがない。“ハリウッド・レポーター”は「驚異的な作品」と評し、“バラエティ”誌は「観る者を奮い立たせてくれる、芸術と自由についての映画」と絶賛している。いくら誉めても誉めたりない映画だと言っておきたい。

20/9/30(水)

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