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水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
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新進女優や新たな才能にフォーカスした作品を中心に紹介

イソガイマサト

フリーライター

最後の決闘裁判

文句なく面白い! リドリー・スコット監督の視覚に訴える映像表現、絵画のような美術と大ロケーション、リドリーの長編デビュー作『デュエリスト 決闘者』(77)を想起させるド迫力の決闘シーンなどなど、そのすべてが圧倒的! 演技派のマット・デイモンとアダム・ドライバーが表題の“決闘裁判”を体現するのだからこんなに贅沢なことはないし、あまりにも理不尽な裁判が14世紀のフランスで実際に行われていた事実にも驚かされる。だが、本作の最大の見どころはそれらではなく、黒澤明監督の『羅生門』(50)形式を踏襲した心理サスペンス。騎士カルージュ(デイモン)の妻マルグリットは、夫の留守中に彼の旧友でもある家臣ル・グリ(ドライバー)に乱暴されたと訴えるが、ル・グリは無実を主張して……。ひとつの事件を3者それぞれの証言を視覚化した3つの映像で見せ、その僅かな違いで3人が何を大切にしているのか、そして真実は何かを炙り出していく。その、観る者にジャッジを委ねる心理バトルは生身の肉弾戦よりある意味スリリング! 中でも、女性(の内面を持った者)にしか分かり得ないマルグリットの生理や本能を微細な視線の動き、表情の揺らぎ、首の傾げ方で伝える新たなるミューズ、ジョディ・カマーに目が釘づけに。果たして、真実の行方は!? 答えはスクリーンの中にある。

21/10/16(土)

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