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邦画も洋画もミーハーに、心理を探る作品が好み
伊藤 さとり
俳優や監督との対談番組を多数、映画パーソナリティ
泣く子はいねぇが
20/11/20(金)
新宿ピカデリー
是枝裕和監督がその脚本力に惚れ込み、企画協力によってメジャー長編映画デビューを果たした佐藤快磨監督。その圧倒的な熱量と空回りの人生に涙が止まらなくなる人と、呆気にとられる人と、まさに二分化しそうなクセのある傑作。 仲野太賀Year(イヤー)と言っても過言ではないほど出演作が豊作続きの俳優・仲野太賀氏の実力が本作では遺憾なく発揮されているのです。さらに元妻を演じる吉岡里帆さんの切羽詰まった演技と、父親になれない息子を見つめる余貴美子さんの存在感は絶大。いつまでも時間が止まったままの男と、彼を取り巻く未来を見据える女性たちのコントラストも見事なのです。 秋田県男鹿半島を舞台に伝統行事ナマハゲと大人になりきれない主人公をダイナミックに映し出し、第68回サン・セバスティアン国際映画祭コンペティション部門で最優秀撮影賞受賞というのも納得。このラストカットは観る者の心を鷲掴みにし、映画史に残る名シーンになるでしょう。
20/11/16(月)