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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

日常対話

母親にカメラを向けて映画を撮るという手法は動機もさまざまで、成功している作品も多いです。ただ被写体としては身近で取材もしやすく、少々安直ではと見る向きもあるかもしれません。その点、本作品は嫌がる母親が抵抗すれば母親の知らない驚くべき事実を突きつけるなど満身創痍となったホアン・フイチェン監督の説得が功を奏しました。 チェンの母親は葬式で死者の魂を送る民俗芸能グループを営んでいます。暴力の絶えない夫から子供二人を連れて逃げ出した母自体もレズビアンで家庭を顧みません。成人したチェンは映画を撮ることで母の本音を聞き出せるのではと考え、冷えきった母との関係を改善しようとします。 母の親戚や賭け事仲間を訪ねるうちに浮かび上がるのは貧困や虐待、暴力の連鎖、マイノリティーへの偏見など世界各国に共通する社会問題です。「聞きたい」「言いたくない」。母子が本音をぶつけ合ううちにどうにか対話の糸口も見つかったようです。 カメラの前なら、あなたは「言える」、それとも「聞ける」? 巨匠のホウ・シャオシェン製作総指揮。

21/8/3(火)

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