職業柄、どんな映画や、あるいは映像を観ても驚くことはなくなったのが寂しい限りですが、本当に久しぶりに驚かされたのが、この『彼らは生きていた』だ。第一次世界大戦中に西部戦線で撮影された数千時間に及ぶモノクロの映像を基に作られたドキュメンタリーなのだが、当時の映像は1 秒13フレームから16フレームで撮影されているので、チャップリンやキートンの旧作のように、どうしてもカクカクとした動きになってしまう。それを現在の24フレームに修正し（存在しないフレームは前後のフレームの素材を使って、人工的に修正したという）、しかもフィルムの無数の傷をデジタルで修正、カラー化したので、約100年前の映像が昨日撮影されたように蘇っている。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソン監督の快挙というべき驚愕の一本です。

20/1/22(水)