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演劇鑑賞年間300本、記者歴40年のベテラン

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

文学座『昭和虞美人草』【配信あり】

文学座の今年最初の公演がマキノノゾミ・作、西川信廣・演出『昭和虞美人草』だ。新型コロナウイルス感染症の拡大で昨年中止になった作品がようやく上演となる。 『虞美人草』は明治期の文豪夏目漱石の小説だが、マキノは翻案として書き下ろした新作戯曲で、原作へのオマージュだという。 時代背景は昭和48年(1973年)。この時期にマキノの作意があるらしい。舞台は、敗戦後すぐに外交官を辞めて代議士になった甲野大吾(早坂直家)の書斎。東京の屋敷住まいの一家には亡き先妻との間の長男・鉄吾(斉藤祐一)、元は赤坂芸者だった後妻・志津子(富沢亜古)との間に生まれた長女・藤尾(鹿野真央)がいる。この他、ロック雑誌「エピタフ」を主宰する鉄吾の友人、仲間が登場し、群像劇がお手の物のマキノらしい若者たちの青春群像劇だ。帰国子女の藤尾、「エピタフ」でアルバイトのデザイナーである糸子(平体まひろ)というふたりの女性の対比、高度成長の絶頂から終わりに向かう昭和48年。コロナ禍の現在が新たな社会生活へと向かうとすれば、その時代に生きる我々への警鐘となるかも知れない。

21/2/21(日)

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