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水先案内人のおすすめ

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クラシック、歌舞伎、乱歩&横溝、そしてアイドルの著書多数

中川 右介

1960年生まれ、作家、編集者

そして、バトンは渡された

ベストセラー小説の映画化なので、原作を読んだ人も多いだろう。この映画の場合、読んでから観るか、読まずに観るかで、だいぶ印象が違ってくると思う。 ストーリーは同じなのだが、物語の提示の仕方が原作と映画とでは異なる。当然、映画は映画ならではの手法で描き、途中で大きな驚きがある。しかし、原作を読んでいる人にはその驚きはない。 だから、まだ原作を読んでいないのなら、読まずに映画を観たほうがいいかもしれない。 ともかく、石原さとみが素晴らしい。原作を読んだときは、こんな女性、現実にはいないだろうと思ったが、いたのだ。石原さとみなら、こういう言動をしてもおかしくない。小説では非現実的だった女性が、石原さとみの身体と声を得て、現実味を帯びる。 というわけで、この映画が成功するかどうかは石原さとみに全てがかかっていた。それを見事にやりとげただけでなく、映画を観てから原作を読む人にとっては、この現実感のない女性がリアルに感じるだろうから、原作の弱点までも補ったことになる。 なおかつ、これまでの石原さとみにはない面も出しているので、石原さとみにとっても新境地。 主人公の永野芽郁は、いつもながらナチュラル。 どうでもいいが、夫婦同姓でなければ存在し得ない物語でもある。

21/9/16(木)

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