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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

出櫃(カミングアウト)―中国 LGBTの叫び

少しずつではありますが性的マイノリティーの人たちへの社会に張り巡らされた障壁は徐々に低くなっています。とはいえ国や地域によってはまだまだ理解は広がっていません。 対照的なのは同性婚をアジアで初めて認めた台湾と、一人っ子政策の後遺症で孫の顔を見たい親と子の結婚をめぐる価値観の相違が顕著な中国です。かつては同性愛が「犯罪」とされ、また古い社会通念が根強く残る中国では子の生まれないカップルは一家の繁栄につながらないと思われているのでしょう。 本作品はありのままの自分を受け入れてもらいたいと、親と向き合うことになった中国のゲイとレズビアンの2組の若者に密着したドキュメンタリー。子の思わぬ願いを聞いて「中国には同性愛者の居場所なんかない」「結婚しないと人生は終わりよ」「同性愛者は泥棒のように日陰者で生きていくしかない」。親子の間で飛び交う言葉は鮮烈です。 それでもどんなに激高して大声を出しても肩を抱き寄せ、あるいは膝を交えつつ涙を流し合う姿に親子の情の熱さを感じないわけにはいきません。どちらに非があるわけでもなく、強いて言えば多様性を認めようとしない中国の同調圧力の強さがマイノリティーに声を挙げにくくさせていると言えるかもしれません。

21/1/20(水)

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