Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

テレビプロデューサー テレビは見ずに演劇、映画、コンサートばかり足を運んでいる

波多野 健

1954年生まれ プロデューサー(イースト・エンタテインメント)

ギャング・オブ・アメリカ

実話をもとにしたストーリー、だからおもしろい。禁酒法時代からのギャングのボスが隠遁するフロリダで、さえない作家が伝記を書くためにボスに取材を申し入れ、受け入れられる。ボスは実在の人物のマイヤー・ランスキー。ユダヤ人で、金勘定がうまく、“頭”で修羅場を乗り切ってきた伝説の人物。アメリカに移住してきたユダヤ系ロシア人のランスキーは、ニューヨークをしきっていたラッキー・ルチアーノと知りあい、全米にそのシンジケートを広げていく。最後は3億ドル以上の資産を残したと言われるが、FBIたちが追うも結局は見つからなかった。映画はランスキーが語る中に回想シーンが始まるという形式で、壮絶な殺しなどの卑劣なやり口が描かれるが、不思議にランスキー本人が真の悪人に見えない。監督の父が実際にランスキーにインタビューした本作の作家のモデルでもあり、監督の思い入れも感じられた。「人生は白と黒ではなく、グレーの中にある」というランスキーの独白が、彼の人生を深みのあるものにしている。ハーヴェイ・カイテルがランスキーを演じ、あいかわらずいい味を出しているのだが、残念なことにちょっと歳をとって、顔が菅前首相にそっくりになっていて少しとまどった。でも、なかなか、お薦めです。

22/1/7(金)

アプリで読む