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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家

野村 正昭

映画評論家

夏、至るころ

夜のプールサイドで、翔(倉悠貴)と、泰我(石内呂依)、そして都(さいとうなり)が、とりとめもない会話をする場面が印象深い。劇中で、「そんな映画、あったよね」と言及され、ついに題名は明かされないが、筆者の世代では『台風クラブ』(84)あたりの記憶が甦る。トップモデルであり女優としても活躍する池田エライザの初監督作は、「地域」「食」「高校生」をテーマにした青春映画制作プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑」の一本として作られた。監督が初めて訪れた福岡県田川市を舞台に、端正なデビュー作として、実に見応えのある佳品に仕上がっている。監督が24歳(撮影時は23歳)という物理的状況は、注目を集めるに値するだろうが、全篇を覆う、落ち着いた演出力は、良い意味で、それを裏切り、彼や彼女たちの息遣いが輝く瞬間を見事に捉えていて申し分ない。

20/11/30(月)

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