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水先案内人のおすすめ

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白坂 由里

アートライター

花沢忍 「うつくしい距離」

無邪気にも見えるラフな絵画もあれば、数ヶ月かけて塗り重ねた密度の濃い絵画もある。親しい者の死を、花沢忍は絵画を描くことを通してずっと考えてきた。海辺でダンスする楽観的な作品もある。美術史の文脈に当てはまらないことがコンプレックスでもあるというが、絵画が生活とともにあり、そのときの気持ちに沿って描くことに決めてから少し楽になったと笑う。 花散る大樹をはさんで奥に白馬、手前に裸の娘。娘の左胸には「まぶしい」の文字。樹木と草原の間に、抜けるような光の空間がある。白馬は花沢の祖母で、娘は自分自身の象徴だそうだ。 机の上に置かれた、これまでに書きためたエッセイを読んでから見直すと、絵画の印象がまた変わる。例えば、花沢が棺に収めた花の色が移り、火葬を終えたばあばの骨がピンク色に染まっていたという下り。朝焼けや夕焼けは、死者が生者を見守りにやってくる印なのかもしれない。

19/10/3(木)

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