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巨匠から新鋭まで、アジア映画のうねり

紀平 重成

1948年生まれ コラムニスト(元毎日新聞記者)

HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版

台湾映画のというよりも世界の巨匠と呼んだ方がふさわしいですね。そのホウ・シャオシェン監督の素顔にオリヴィエ・アサイヤス監督が迫った伝説のドキュメンタリーのデジタルリマスター版が今秋、日本の劇場初公開という形で上映されます。 すでにご覧の方もいらっしゃるでしょうが、何度観ても発見があり、感動があります。ホウ監督やエドワード・ヤン監督らの才能が台湾ニューシネマという形で存在感を世界に強くアピールした時代。その一人だったチェン・グオフー監督はアサイヤス監督のインタビューに答え「あの頃の感情を取り戻せるのなら、自分の作品を売ってもいい」とまで言い、ニューシネマ時代を懐かしむのです。 そのうねりが最高潮に達したのが1989年の『悲情城市』でしょう。「(日本の統治やその後大陸から移住した外省人によって)虐げられてきた台湾人の尊厳を描こうとした」というホウ監督は作品の発表自体が危ぶまれたものの、ノーカットで公開することに成功し、ベネツィア国際映画祭でもグランプリを勝ち取りました。公開を待ち望むファンの声が当局の検閲を押しとどめたことは間違いありません。 マンゴーの木に登って無断で食べてしまういたずらっこ少年がなぜ映画界に入り「人を感動させるには、まず自分が感動することが必要」(2020年台湾金馬奨スピーチ)と語るなど今なお創作意欲を絶やさないクリエイターでい続けるのか、その熱量の一部始終を堪能できます。

21/9/21(火)

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