古来より隣国の中国から文化的に大きな影響を受けてきた日本ですが、1910年代から60年代にかけて日本人の中で、中国をはじめとするアジア諸国の古典美術に対し異様なまでに憧れを抱いた時期があったそうです。年代から推し測ればわかるように、中国をはじめとしアジア諸国へ日本が進出していった時代と合致します。そうした歴史的な背景もパネルで解説がなされています。展示作品は、日本画、洋画から陶磁器、竹籠までジャンルは多岐に渡ります。アジアの古い美術・工芸品とそれらからインスパイアされ描かれ作られた日本の近代作家の多彩な作品が、小部屋で構成される庭園美術館本館の特性を上手く活かし、テンポよく且つ丁寧に紹介されており、飽きることなく鑑賞できます。静かで一見すると地味な展覧会のように思えるかもしれませんが、そこの展開されている多くの「物語」を辿っていくととてつもなく興味深い内容です。アジアの中の日本人として是非観ておきたい展覧会です。

19/11/8(金)