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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家
野村 正昭
映画評論家
恐怖に襲われた街〈HDリマスター版〉
20/10/30(金)
新宿武蔵野館
「ジャン=ポール・ベルモンド傑作選」の1本として上映。 ベルモンド演じるルテリエ刑事は、警察内部のアウトローで、組織犯罪課から刑事課に左遷され、ふてくされている、やさぐれ刑事(デカ)。折しも、次から次へと、女たちを殺す、サイコキラーを追う破目になる。この犯人、ダンテの『神曲』に出てくる処刑執行人ミノスと名乗り、無気味な義眼で神出鬼没し、挑発を繰り返す。ミノスを追って、ルテリエ刑事は急斜面の屋根の上や、走る地下鉄車両の屋根の上も全力疾走し、スタントなしの大活躍。CG一切なしの時代に、ロングショットで本人が演じているのが分かるから、往年のジャッキー・チェンも顔負けの獅子奮迅ぶりだ。 アンリ・ベルヌイユ監督は、文芸メロドラマからアクションまで、巾広く手がけた名監督だが、ベルモンドとは『ダンケルク』(64)、『華麗なる大泥棒』(71)、『追悼のメロディ』(77)などでも組む名コンビだった。
20/10/28(水)