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日本で(多分)一番多くの映画を観る(年間800本!=新作、旧作も入れると…)映画評論家
野村 正昭
映画評論家
テレビで会えない芸人
22/1/29(土)
ポレポレ東中野
社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」のことは記憶していたが、そのメンバーだった松元ヒロの存在は、恥ずかしながら、この映画を観るまで、よく知らなかった。彼は90年代末にテレビを棄て、主戦場を舞台に移す。なぜ彼はそうしたのかが、映画を観るうちに理解できた。政治や社会情勢を小気味良く斬る。その語り芸は、現在のテレビからは失われたもので、ライブ会場は連日満席、チケットは入手困難になるはずだ。立川談志や永六輔に愛され、支持されたのも頷ける。新型コロナウィルスが猛威を振るい、そのマスコミ報道自体に違和感を持つ私にとっては、彼がテレビを去ったこと自体が象徴的に思える。皮肉なことに鹿児島のローカルテレビ局がその芸と舞台裏に張りついて、番組を製作し、それが高く評価されたことで、今回の映画化につながったのだから、世の中はわからない。
22/1/18(火)